〜未来と言う名の歴史〜 (3・11東日本大震災)

中国から一年間滞在の研修生が去る時に「中国が日本を追い越すのに何年必要か?」と尋ねた事がある。その時の彼の返答は「年数以前に追い越すことは無理でしょう!」だった。自信満々の中国人にしては不思議な答えだったので「何故か?」と尋ねたら…次のような返事だった
「礼節」において日本人を追い越すことは世界中の何処の国の人にもできない。これは勉強して憶えて身につく知識や技術ではない。そして、他方これは「民族形成」「国家形成」の為には非常に重要な事である。…従って中国が日本を追い越すことは出来ない!…やけに語気が強かったのは、その時は「一年間の酌み交わした酒への社交辞令」だと思っていた…が…この度の「3.11東日本大地震」の新聞報道やツイッターでの多くの書き込み内容を見ると、彼の言葉が正しかった事が証明されている。
精神的には、最近失いかけた日本民族の自信を呼び戻してくれる地震である!

四万十川において「観光」を語る時も、少しそれに似た話に遭遇する。
「川や景色や魚」は観光の大切な要素ではあっても最後の決め手ではない。似た川や、水質的にはもっと美しいとされる数値の川を捜すのに苦労はないという。しかし、どうしても「四万十川」へ行きたい人が多いのは「そこにある情緒」のせいだという。この事は四万十川の流域住民にすればある種の自信を持っていい事だと言える。

これら二つの「礼節」と「情緒」に共通する事は、「金銭で購入する事が出来ない!」「言葉で教えられる事ではない!」と言う事だ。そして…それらは日本人にしたら、まるで「空気」のように「安価」ながらも非常に「貴重」なものだと気づく。同時に、このことに「誇り」を持つべきだとも判る。そこでもうひとつ気づくべきは…「速く・早く・マニュアルに反せず・無駄なく・無理なく・自己の利益優先…」となりがちな、あまりにも余裕のない最近の日本人の「焦る姿」への反省である!

日本の歴史は75年周期で転換を行ってきた。「太平洋戦争」「明治維新」「寛政の改革」「享保の改革」「鎖国令」「本能寺」…これらすべてが「エネルギーの放出」とは考えにくいものの、今回はこの地震を契機として「過去の歴史」と共に次の75年先の「未来の歴史」を考えてみるのも…また面白い!