アカメ!

アカメとは「スズキ目アカメ科」の魚で、大きくなれば30キロを超すのだが、そのサイズになる頃は地元では「ミノウオ」と呼ばれる。最近はその成魚を見掛ける機会も稀になってしまった「幻の魚」である。また、アカメ=ミノウオは生態が解明されていないのでなおさら「幻」という言葉の似合う魚である。

この「ミノウオ」は地元では「食材としての歴史」がない。その大きな理由は「味がまずい!」ことである。四万十川では「鮎」「ごり」「エビ」「チヌ」「鱸(すずき)」の美味の魚や、また香りも量も日本一の「あおのり」等が獲れるから、大味なアカメは見捨てられた存在でしかなかった。「狩猟」とは「食」の出発点であることがわかる。ところが、そのまずいアカメが最近脚光を浴びている。飽食の日本でその理由とは「都会での観賞用需要」である。ここにも「現代の都会の論理」の影響が田舎において表れて来ているのである。

この希少種のアカメ(ミノウオ)だが、彼女達(雌雄同体)は「漁業権魚種」ではない!だからこれを捕獲しても「密漁」ではない、つまり法的には保護されていない魚である。この無防備の上に、「日本最後の清流」という冠詞を持つ「四万十川」の魚ならその付加価値は高く、価格も他の河川のものより高いのである。従って多くの人は、算盤片手にアカメの赤ちゃんの居るアマモ場をめざす!

その一方で、「アカメの保護とは環境問題と直結する!」との考え方や、「環境は21世紀のテーマである!」との反省的かつ建設的な考え方で「アカメの過去と人間の未来」を直結させての「アカメ復権」の運動もある!
                  
                     矢口高雄先生から頂いたカレンダーから